「楠原」


ぼーっと突っ立ってると、座っている早瀬君が私を見上げて言った。


また、びくっとしてしまった。


「座んないの?」


「あ、ああ。
座るよ」


いやはや、寝不足のせいで頭が上手く回らない。


思考と行動が途切れ途切れでスロウだ。




「告られてたよ」


私が椅子に腰かけると、ふいに早瀬君が言った。


流されていたと思っていたさっきの私の質問に急に答える早瀬君。


やっぱり掴めない。


私は早瀬君に顔を向けるが、早瀬君の視線は本のまま。