パキッ。


カチカチカチ。


ああ、また折っちゃった、芯。


カチカチカチカチカチ。


何度もシャープペンシルの頭を押すが、芯が出てこない。


ガサガサとペンケースからHBの芯を取り出そうとする。


あれ?


あれ?


入れてなかったっけ?


「……はい」


チャッ、と芯ケースの中の芯達が整列して音を立てた。


「あ……、ありがと」


差し出された早瀬君の手から芯ケースを受け取る。


早瀬君は目線は本のまま、手だけをこちらに差し出したまま。


久しぶりに出した私の声は、少し掠れていた。