「……失礼だよ、それ」


成長してるよ。


こうやって男の子と話が出来るくらいには。


「あのー、返却お願いします」


本を返しに来た1年の男子生徒。


……気付かなかった。


ちょっと声のトーンを落とそう。


少し恥ずかしくなった。





早瀬君が印鑑を押してくれて、男の子はスタスタと帰って行った。


ギッ。


椅子に座り直す早瀬君。



少しの沈黙の後、ニコッと笑ってこっちを見た。




「そんな無理して大人になろうとしなくていいと思うけど。
自分のペースでいいんじゃない?
それに、よく言うじゃん。
恋はするものじゃなくて、落ちるものだって」