「なんか、周りの話聞いてたら、私っておかしいのかなって思えてきた」


「なんで?
何が?」


放課後。


図書室。


昼間に早瀬君にチラ見されていたということもあって、向こうからつつかれる前に自分から話題を振ってみた。


「好きな人もいないし、彼氏が欲しいともそこまで思わないから」


「そうなんだ」


静かに笑う早瀬君。


あー、昼間の話ね、って顔してる。


「できたとしても多分何も動けない」


「ふっ。
楠原、中2から全く成長してない?
もしかして」


カウンターに肘をつき、頬杖しながらこちらに体をひねる早瀬君。