図書室は、椅子と机が整然と配置された読書スペースと、私と早瀬君が座るカウンターを挟み、その間に本棚が並ぶ。


うちの図書室は結構大きい方らしくて、本棚は何列にもわたり、壁にもぎっしりと書籍が敷き詰められていた。


本を読むのは好きだし、ここでならいつも帰ってやっていた宿題や勉強ができる。


と、思った。


でも、隣に人がいるというだけで、その集中力は半減してしまう。


本特有の、あの何とも言えない知的な香りに包まれながら自分の世界に浸りたい、という私の静かな野望は、どうやら隣の人のせいで叶いそうにない。




私は数学の宿題をしながら、隣で本のページをめくるその音が、気になって仕方なかった。