「自分が不満に思ってたり、仕方なくやってるのは個性じゃないよ」
「なんでそう断定するの?」
ついついムキになってしまう。
「なんか楠原、笑顔が引きつってるから。
つまんなそうに見える。
無理して『大人しい』って言葉の後ろに隠れてる感じ」
「早瀬君だってクラスで喋んないじゃん」
「俺のは個性だから」
なんか、話がよく分からない。
いや、分かりながらも認めたくないのかも。
「傷つきたくないからって、踏み込まないんだね。
自分が可愛いんだ」
カアッと顔が赤くなる。
「そんなことっ!」
バン、とカウンターを叩いて立ち上がる。