「でも、楠原はあんまり喋んないよね。
喋っても受け身な感じ」


わあ。


それ、早瀬君に言われるんだ。


「うん。
もともと」


「作り笑顔って、ばれてないようで意外と分かるもんだよ」


……。


あれ。


どういうこと?


イヤミ?


「……」


「……」


数秒、沈黙が流れる。


「大人しいっていうのも立派な個性でしょ?
人に合わせることだって必要なことだし」


大人ぶったことを言ってみた。


「個性って……」


ふ、と笑う早瀬君。