カラカラカラ。
早瀬君が開けた窓から少しぬるめの、でも心地良い風が一気に入ってくる。
死んでいた図書室がまるで生き返ったかのような、変な感覚。
同時に外から聞こえる声達が、一気に大きく、一気にリアルに聞こえ出す。
外と空気がつながることで、さっきまで遮断されていたこの空間の緊張感と静けさが、ふっと和らいだ。
「桜、みんな葉っぱになっちゃったね」
「うん」
座りながら言う早瀬君に返事する。
「賑やかな友達、出来たみたいだね」
「はは……」
ジュースを飲みながら世間話をする。
なんだか今日の早瀬君は、いつもより口数が多い。
いつもが少な過ぎるんだけど。