チクタクチクタク。


古い掛け時計の音が響く。


30分くらい経った。


ああ。


本を読んでも意味がない。


頭に入ってこないし、首が疲れるだけだ。




「客来ないね」


そんな時にふいに早瀬君がボソリと言った。


「客って」


ふっと笑ってしまう。


「自販機行ってくる。
何がいい?」


「え。
いいよ私は」


「何がいい?」


再度聞かれる。


その無表情、ちょっと威圧感。


「い、いちごオレ」


「了解」


そう言うと早瀬君はカウンターを出て、図書室を出ていった。