「早瀬君」


思い切って声をかける。


「何?」


早瀬君がこちらへ顔を上げる。


「美術部、行ってもいいよ。
私、1人で係、大丈夫だよ」


「何で?
今更」


「いや、ほら。
無理して来なくても、私がいるし。
1人でも大丈夫かと、今になってようやく思って……。
遅いけど……」


声がしりつぼみになった。


「……」


早瀬君が私をじっと見る。


この無表情。


やはり考えていることがよめない。


「無理してないよ。
本好きだし。
絵は自分ちでじっくり描きたいし」