「おつかれ」
「おつかれ、今日は早瀬君のが早かったね」
「そうだね」
放課後。
図書室。
昨日いろいろ話したから、自然に挨拶できるようになった。
カタン。
私はカウンターの中に入り、早瀬君の狭い後ろを通って、いつも通りパイプ椅子を開いて座った。
早瀬君はいつも通り読書中。
私も今日は本を読もうかなと思い、本棚を通りがけに一冊取ってきた。
目次にざっと目を通しながら、体育の時間に恵美ちゃんが言ってたことを思い出す。
『見下しているように見える』
『何を考えているのか分からない』
早瀬君はみんなからそういうふうに思われているんだ。
まあ、後者は私も共感するけれど。