「ねー、ねー。 楠原さん。 名前、果歩だよね。 下の名前で呼んでもいい?」 バン、バン、とバレーボールの音が体育館に響く。 体育の時間。 6人ずつ代わり番こで試合なので体育館の隅で見学していると、深沢さんが横にぴょんとくっついてきた。 「あー、うん。 いいよ」 「果歩? 果歩っち? カホカホ?」 ニコニコしながらいろんな呼び方を羅列する深沢さん。 「好きなように呼んでいいよ」 「じゃあ、シンプルに果歩りん!」 りん、て。 どこがシンプル? 「はは。 分かった」 苦笑いで了承する。