「おかしな話……」


「え?」


「あの頃は一言も話せなかったのに、今こうして話してる」


ちらっとこちらに目線をやり、そう言った早瀬君。


ポーカーフェイスだけど少し微笑んでいるように見えた。


早瀬君が私と全く同じことを考えていたので、私は少し嬉しくて、ふふっと笑ってしまった。


「ホントだね」


同じクラスになって、実は少し気になってた。


同じ図書委員になって、実はちょっとだけ緊張していた。


特に気にしてないようなふりをしていたけれど。


特に緊張していないように取り繕っていたけれど。


もしかしたら早瀬君もだったのかな。


そう思ったら、変な親近感がわいた。


心が軽くなった。


喋ったことの無い元カレの早瀬君。


今日、ようやくちゃんと知り合えたような気になった。