「じゃ、解いてみて」


ふいに早瀬君の視線が教科書から私の目に移る。


ドキリ、とした。


見てたこと、気付かれたかな。


「……」


解いてみるが、やはりちゃんと理解が出来ていなかった私の指は途中で止まった。


「……。
ここは、さっき言ったようにこうして……」


そんな私を別段咎めることもなく、早瀬君は丁寧にまた説明を繰り返した。


動く指先。


少し深爪だけど綺麗だな、と思った。