途中。
雨がいきなり激しくなってきた。
俺の家まであと5分程だったので、既に濡れている今、大して意味無いと分かっていても、楠原と一緒に走って家に入った。
「は、早瀬君。
ごめっ……。
私の方に傘やってたから、ずぶ濡れになって」
ハーハー言いながら、負けずにずぶ濡れな楠原が謝る。
「いや。
ちょっと待ってて。
タオル持ってくる」
楠原を玄関に待たせ、取ってきたバスタオルを楠原の頭から被せる。
そして、髪の毛をわしゃわしゃと拭いた。
「っや。
あの。
早瀬君。
私、自分でできる、よ?」
あわあわした顔で髪を拭かれている楠原。
「したい。
させて」
そう言うと、真っ赤になりながらもされるがまま動かなくなった。