「微積? 今日習ったとこ?」 早瀬君が首をこちらへ向ける。 「あー……。 うん」 「難しい?」 「うん……」 私にとってはね。 「ふーん……」 パラリ。 早瀬君は本に視線を戻す。 「……」 何? 教えてくれる流れじゃなかったの?今。 「……」 早瀬君は頭がいい。 学年でいつもトップ5には入っている。 私も悪い方じゃないけれど、せいぜい20位くらいを行ったり来たり。