「お待たせ」
「は、……はぃ……」
部活が終わって制服に着替えてきた早瀬君が靴箱に来た。
何て返したらいいのか分からなくて、とりあえず『はい』と言ってしまった。
まあ、確かに待たされたことは事実。
5時過ぎと6時過ぎでは全然明るさが違う。
次第に夜に向かう帰り道を、2人で並んで歩き出す。
以前と同様、2人の不揃いの靴音が響く。
「深沢達と話できた?」
早瀬君がいつもの穏やかな口調で聞いてきた。
「あ、うん」
私はなんだか早瀬君の方を向けなくて、ただ斜め前の地面を見ながら答えた。
「何て言ってた?」
「……ちゃんと言ってくれて、嬉しいって。
頑張れって」
「ふーん……。
よかったね」
「……うん」