「……今も」
声が震えて裏返ってしまう。
早瀬君から目を逸らさないようにすればするほど、私の涙腺は制御がきかなくなっていく。
ドンッ、ドンッ、と、もう太鼓のように鳴り響く心臓の音。
ドキン、ドキン、なんて嘘だ。
私の心臓は、そんな可愛い音なんかじゃない。
「……今も、好きなの」
もう声じゃなかった。
ただの息だけの擦れ声。
耐えていたはずの涙がいつの間にか出ている。
鼻水も一緒に垂れてくる。
ズズッ、と一世一代の告白を、なんとも間の抜けたようなものにしてしまう音。
格好悪い。
心臓、痛い。
強く握っているつもりだったカバン。
手に汗を掻き過ぎて、なんだか落としてしまいそうだ。
『伝える』ということは、時にこんなに力と心を使う。