「お、おつかれ。
って、ど、どうしたの?」
「10分休憩タイム」
笑ってるのか無表情なのか分からない顔で、私を見ている早瀬君。
髪の毛が汗で濡れて、ユニフォームも湿っている。
靴を脱いで来たから足音がしなかったんだ。
私は足元を見てそう思いながらも、目の前にいる今までの図書室での印象とはかけ離れたスポーツマンな早瀬君に緊張を隠せなかった。
「見てた?」
「え?」
「図書室の窓から」
「あ……」
目を逸らす。
……恥ずかしい。
見られてたんだ。
オレンジ色に染められた顔。
次第に赤みが差していくのが分かる。
私は俯いてその顔を隠そうとした。
「見てた?」
再度尋問される。
早瀬君は私をいたたまれなくさせるのがホント得意だ。