「……」
何なんだろうね。
つきあっていたのに、お互い片想いだったんだね、ホントに。
先程開けた窓から、グラウンドを見る。
サッカー部がよく見える。
お互いにかけ合っている声や監督の声、ボールを勢いよく蹴る音が、ここにまで響いてくる。
少し遠いけれど、早瀬君の姿を見つけた。
私は窓の桟に手をかけて、ひたすら彼を目で追う。
休んでいたとは思えないほど俊敏に、鮮やかにボールを蹴っている。
早瀬君。
早瀬君……。
心臓が痛くなって、少しずつ身をかがめた。
もっといっぱい話せばよかった。
もっといっぱい聞けばよかった。
後悔だけが後から後から積もっていく。