そのまま扉を閉めて、出て行った木之下君。


私はしばらく突っ立ったまま、その扉を見つめていた。


戻ってきた静寂に、少しずつ自分の頭と心が冷静になっていく。


……ハハ。


木之下君、1年の時同じクラスだったのに、今になって私だってことに気付いたんだ。






「……」


違う。


大事なのは、そこじゃない。


……そこじゃ……。





「……っ」


中学の時に見かけた、絵を描いていた早瀬君。


何を描いていたのか見えなかったけれど、


あれは……、
私を描いていたんだ。