「……」


木之下陽平がズカズカとこちらへ向かってくる。


え?


あ……。


早瀬君、今日からもうここにはいないんだけどな……。


カウンターを挟んで真正面に来られると、なんだか座っているのが悪い気がして、私はすくっと立ち上がった。


「あ、早瀬君はサッカー……」


「あのさ」


私がまだ言い終わらないうちに話し出す木之下君。


「中学ん時、髪短かった?」


「え?」


私はあまりにも突拍子な質問に口を開けたまま固まってしまった。


「後ろも、前も」


「は……、はい」


私はぽかんとして、何故か敬語で答えてしまった。