「……」


私は開いていた小説を閉じた。


窓を少し開けて、外の空気とたくさんの混ざり合った声と音を吸い込む。


中2の時の私は、自分から早瀬君に何も伝えなかった。


そして、高2の私も、未だ、早瀬君に何も伝えていない。


同じ人に2度も恋をした私。


1度目の教訓を胸にもう一度リベンジしなさい、っていう神様のお告げなのかもしれない。


ふふ……。


少しメルヘンな思考になってしまって、自ずと笑いが出てしまった。







カラカラカラ。


その時。


図書室のドアが開いた。


私はふっと顔を上げ、その方向を見る。