いつかの同じシチュエーションの時のように、オレンジとグレイの仄かな夕日の明かりが早瀬君の横顔を照らす。


鍵を閉めて、それを手に持ったまま、動こうとしない早瀬君。


私を優しく見つめている。


なんか、泣きそうだ。


胸がきゅうっとなって、心臓が絞られているみたいになる。




「あ、ありがとう。
今まで」


私は間が持たなくて、ペコリとお辞儀した。


「ハハ。
何?
今生の別れみたい」


私を見下ろす早瀬君の顔が少しくしゃっとなった。


「いろいろアドバイスくれたから、ちょっと、私、なんか……頑張れるかも」


「何か言ったっけ?」


「……うん。
ズケズケと、いろいろ、……言ってくださいました」


俯きがちに話す私の頭を、早瀬君の笑う吐息が掠める。