「って、いいわけだね。
潔くないわ、俺。
楠原のせいにして」
ぶんぶんと頭を振る私。
何だろう。
もどかしい。
伝えたいのに、伝わらない。
弁解したいのに、言葉が見つからない。
「あー。
すっきりした」
早瀬君はパックコーヒーを飲む。
私は手で握ったままだったいちごミルクに気付く。
「以上でした」
早瀬君がそう言うと同時に、図書室の扉がカラカラカラと開いた。
返却の本を持ってきた男子生徒がカウンターに向かってきたので、早瀬君がカタンと音をさせて椅子から立つ。
ああ、話にちゃんと区切りがついたようなタイミング。
私はその横に座ったまま、既にぬるくなった液体をすすった。
味があんまり分からなかった。