「ああいうのって、普通男の方からちゃんと声かけなきゃいけなかったんだよね。
ごめんね。
ただ、恥ずかしくて勇気がなかった」
「……いや、違うよ。
私の方が……」
嬉しいはずなのに、何故か胸が痛む。
早瀬君は、また静かに微笑んだ。
ギシ、と椅子が鳴る。
「ずっと謝りたかったし、ちゃんと気持ちがあったって言いたかった」
分かりにくいながらも、私に伝えたことで少し満足げに見える早瀬君。
「……」
私はなんで嬉しいという感情がこんなにも薄いんだろう。
なんで、この『告白』を心から喜べないんだろう。
そっと早瀬君を見る。
早瀬君はさっきと同じ微笑みで、私を見ている。