鍵をかけ、靴箱まで無言のままついていくと、早瀬君が、
「……一緒に、帰るの?」
と聞いてきた。
『一緒に帰る?』とは微妙にニュアンスの違う言い方。
少し突き放された感があったが、私は、
「うん……」
と言って、コクと小さく頷いた。
正直、今の私の積極さに一番驚いているのは自分自身だ。
恵美ちゃん達にお化粧してもらって、高田君に『可愛い』を連発されて、ちょっと調子に乗っているのかもしれない、私。
動悸の早さと赤面は相変わらずなんだけれども、私は少しでも早瀬君の特別になりたくて、少しだけ早い早瀬君の歩調に頑張ってついていった。