でも、分からないからこそ知りたい。


なんで、私の心を乱すようなことを言うのか。


なんで、たまに私に触れる手がそんなに熱を帯びているのか。


彼の目には私はどういうふうに映っているのか。


彼は、私を、どう思っているのか。


自惚れが大半を占めるけれど、私は嫌われてはいないと思う。


むしろ……。


自分に都合の良過ぎる予想が頭を占領していく。


私は早瀬君に心を読まれていたらどうしよう、とチラリとまた早瀬君を盗み見た。


相も変わらず伏せ気味の睫毛。


文字を追う目。


「……」


卑屈で臆病な私を見抜いてもなお、笑いかけてくれる早瀬君。


だからこそ、彼のことがもっと知りたいし、自分のことをもっと分かってもらいたいし、『可愛いね』と言われたい。






ポキ……。


カウンターで宿題をするふりをする私。


動かしてもいないのに、握っていたシャープペンシルの芯が折れた。