「モテたいの?」 「へ?」 意外な言葉に固まってしまう。 「好きな人もいないし、彼氏が欲しいとも思わないって、この前言ってなかったっけ?」 確かに、言ったけど……。 「……」 「やっぱりキラキラした人達に憧れてるの?」 「ちが……」 「じゃあ、何で? 何で可愛くなる必要あるの?」 「……」 何でって……。 ものすごく近い距離で、逸らさずに私の目を見る早瀬君。 吐かれる息さえ、私の髪にかかりそうだ。 心臓の音がうるさい。 何かに負けて泣き出しそうになるのを、ぐっとこらえる。