えっ?
ええっ!?
私と早瀬君は今、お互いしゃがんだ状態。
誰からも見えないカウンターの下で、向かい合っている。
「……」
いきなりのことに目を見開いて、口をパクパクさせる。
早瀬君の左手は私の右手を、早瀬君の右手は私の口を封じている。
「しー……」
あまり表情を変えずに、いたずらっ子みたいなコソコソ話の声を出す早瀬君。
瞬時に私の心臓はやかましく早鐘を打ち始め、顔もハイスピードで真っ赤になった。
早瀬君は、そっと私の口から手を離し、自分の手の平を見る。
「グロス、ついた」
そうボソリと言うと、伏せた目をゆっくりまた真正面の私へ移した。