損してる……か。
私、何にしても最初からいろいろ諦め過ぎなのかな。
「……」
そう思ったら、目に見える周りの景色の色彩が、ほんの少しだけふわっと鮮やかになった気がした。
「あ、ちょうどいいところに!
ほらっ、高田!
こっち来て来て」
え?
廊下の方へ大きな声をかける恵美ちゃん。
恵美ちゃんはたまたまうちのクラスの前を通りがかった高田君を呼び止めた。
「ちょっ、恵美ちゃん……、そんな」
「おー。
何?
深ざ……」
教室に入ってきて、こちらへ向かってくる高田君がピタッと固まる。
「か、果歩りんちゃん!?」