「え……」
もともと直毛といえども若干クセがついてしまった前髪が、不格好に額を散らかす。
カウンターに片手をついて頬杖している早瀬君は、私に伸ばしていたもう片方の手をゆっくり下ろした。
そのまま、じーっと私を見る。
「……」
表情が読めない。
ホントに、わからない。
この、ポーカーフェイス。
う……。
次第に自分が驚いた顔から恥ずかしくてたまらない顔に変移していくのが分かる。
早瀬君に見つめられると、いたたまれない気持ちになる。
視線を合わせてもらえないと、それはそれで、不安になってこっちを見て欲しくなるんだけど。
早瀬君は不思議だ。
私を私自身にさえ理解不能な人間にしてしまう。