「今日部活あるけど終わったら寄るから、おばさんによろしく言っといて」
「お前、ちゃんと自分ちで食べろよ」
「だって、孝文んちのメシ、俺んちよりウマいんだもん」
2人とも、図書室だというのに、ペチャクチャ喋る。
まあ、早瀬君は気を遣って声の大きさは木之下君の5分の1くらいなんだけど。
私は1人座りながら、隣に立つ早瀬君とカウンターに前のめりに手をついて話す木之下君の会話を聞いていた。
昨日、いとこ同士だって聞いたから、内容がすんなり耳に入ってくる。
私は何故だか少し嬉しく感じた。
「じゃ、後で」
木之下君が部活へ向かおうとする。
「あ」
かと思ったら、ふっと私の方を見た。
「楠原さん、昨日はどーも」
――え?
木之下君はさらりとそう言った。