「……」


この前の帰りの廊下でのこと?


私が、キスされるって期待した……こ、と?


「……っ」


プシューーー、と顔から湯気が出た気がした。


私は慌てて両手で自分の両頬を包む。


ガタガタッ。


動揺しまくって、パイプ椅子のバランスが少し崩れた。


「ちょっ、楠原」


慌てて早瀬君が私の腰のあたりを支える。


「……っ」


「っぶね……。
座りながらコケそうになる人、初めて見た」


私の口元に早瀬君の前髪。


もー、ダメだ。


私、動悸過多と呼吸困難で死ぬ……。