ああ、この人は。
……全部見透かしているんじゃなかろうか。
私の期待や心配や長所短所もひっくるめて、私以上に私を理解している……。
たまに小憎たらしいけど、たまに泣きたいくらい辱めに遭うけど……。
……好きだな、私、……早瀬君のこと。
「……」
え?
あれ……?
「楠原?」
私は早瀬君を見たまま、きょとんとしてしまった。
「ハハ……。
超間抜け顔……」
早瀬君の口角がきゅっと上がる。
その笑顔はまるで図書室全体が見惚れるよう……。
「……」
いきなり、唐突に、全くの急に……。
私の心にストンと降りてきた感情の呼び名。