カラカラカラ……。
静かに図書室のドアが開く。
ギ……、ギ、ギ……。
木製の床の軋む音。
いつものように早瀬君がカウンターに入ってきた。
カタン。
早瀬君はカバンを置き、折りたたみ椅子を開く。
そして、座る前にゆっくりこちらを向いて、
「おつかれ。
教室一緒なのに、久しぶりな感じ」
と、ふわっと笑って言った。
「ハ、ハハ……。
そうだね。
お、つかれ……」
私は少しぎこちない笑顔でそう返した。
椅子に腰かけ、いつも通り本を読む準備をする早瀬君を見て、私は緊張と同時に妙な安堵感というか、……まるで反対同士の気持ちが一緒に生じるのを感じた。