「果歩りん!
なんか高田君といい感じじゃなかった?」
帰り道、途中まで一緒に歩く恵美ちゃんと玲奈ちゃんが背中を揺する。
「いい感じって、そんな……」
私は正直気疲れしていて、とにかく早く家に帰りたかった。
「高田はうちらと同中なんだけど、いい奴だよ!
彼女も2ヶ月前に別れてて今いないし」
どうしてこの人達はすぐに恋愛に結び付けたがるんだろう。
そして、口がこんなにも軽いんだろう。
「なんかね、果歩りんのこと可愛いって言ってた、帰り際うちらにコソッと。
あ、言ってよかったのかな?
いーよね?」
恵美ちゃんは玲奈ちゃんに目で合図してクフフと笑った。
『可愛い』……。
その言葉はとても魅力的だ。
その一言で女の子の気持ちを少しフワユラさせる。
私も例外じゃなく、満更でもなかった。