「彼氏、マジで今まで1人もいないの?」
高田君が急に興味を持ち出したかのように聞いてくる。
というか、恵美ちゃん達、私が彼氏いない歴17年てバラしてるし。
「……うん」
「じゃあさ、何もかも初めて……」
ボカッ、と隣に座る木之下君が高田君の頭を叩いた。
「お前、下品」
「ってぇ。
いいじゃん。
今時、レアだよ、そういう清純な子!」
なんか、もう、この人達失礼うんぬんじゃなくて、こういう人種なんだろうな、って思えてきた。
「果歩りんちゃん!」
高田君が私の両手を急に握る。
何なんだ、その中国人みたいな名前。
「まずはお友達になろうね」
「へ?」
ものすごく眉毛の整った中性的な顔の高田君が、人懐っこくにっこり笑って私の返事を待つ。
「は、……はい……」
私は、そう言うしかなかった。
「……」
木之下君がぼーっとその様子を見ている。
そして、バカにしたような顔で、私の目をちらりと見た気がした。