「ああ、……どうも」


私はしどろもどろになりながらお礼を言う。


「でもさ、前髪長過ぎじゃない?
目が少し隠れちゃってるし。
ちょっとおでこ上げてみてよ」


「え……、こ、こう?」


私は言われるまま、前髪を上げる。


「……」


「……」


高田君も、黙って聞いていた目の前の木之下君も、一瞬目を見開いて無言になる。





「楠原さん、そっちの方がいいよ、絶対」


「……え?」


少し身を乗り出してそう言った高田君に驚く。


「かわいーって、前髪上げた方が、マジで!
眉毛もちゃんと整えてさ。
絶対、宝の持ち腐れだし、それ」


「……」


び、っくりした……。


可愛いなんて、言われると思ってなかった。


「な、陽平。
思うだろ?」


「んー、まあ……。
根暗そうに見えるのは若干解消されるかもな」


自分の顎に手を持っていきながら、正直に答える木之下君。