「何?
陽平、早瀬と友達?」
「いとこ。
母方の」
メロンソーダを勢いよく飲みながら淡々と話す木之下君。
え?
そうなの?
私も初耳で、みんなと同じように目を丸くした。
「あいつんち、父親の趣味でアトリエがあってさ。
俺も孝文もそこで油絵描いてんの。
まあ、俺は部活無い日とか気が向いた時だけなんだけど、ついでにウマい晩飯食えるから」
「おわー。
すげえな。
つーか、油絵って。
陽平、似合わねー」
「うるせー」
私はその情報にドキドキした。
すごい。
アトリエまであるんだ。
思いがけず早瀬君について知ることが出来たことに、小さな喜びを感じた。