少し薄暗い廊下。
まだ外から響いている、たくさんの部活動の音達。
なのに、誰もいない。
この直線の長い廊下には、私達2人以外、誰もいない。
カタン……。
図書室のドアに手をかけている早瀬君。
体重をかけたのか、少しだけ音を立てた。
ストレートの私の黒髪を親指と人差し指で挟み、ツーーッと上から下になぞる。
私はゆっくり顔を上げて早瀬君を見た。
濃いオレンジ色に灰色が混ざったような光。
それが早瀬君の横顔を照らし、男の子なのにとてつもなく綺麗に見える。
早瀬君から見た私もこんなふうに見えているんだろうか。