「陽平はいい奴だよ」


ポツリと早瀬君が言う。


「……」


「楠原はいろいろ先入観で見過ぎ」


「……」


じわっと、得も知れぬ涙が込み上げた。


悔しい、とも違う。


申し訳無い、とも違う。


……まただ。


言い当てられて恥ずかしい、という感情だ。


これは。


情けなくて、惨めで、……恥ずかしい。




私には本当の友達がいない。


心から気を許せる相手ができない。


そして、それを周りのせいにしている。


私はいつも、一歩引いた斜めの角度から周りを見ているだけ。


問題があるのは自分なのに。


そうさせてしまっているのは、正真正銘自分自身なのに。