こんなこと、大した意味はないのに。
昨日だって同じように触れたのに、久々に触れたように思えて言葉がでなくなる。
「ったくぼけっとすんなよ。そんなことしてると変な奴につけ回されるぞ」
なにそれ。
修弥が呆れたように私を見て、ふうっと小さなため息をついた。
私が他の男とどうなろうが、修弥にはもう関係ないじゃない。
そのまま私を置いて歩き始める修弥の後ろ姿を見つめて、離れていく距離をただ、眺めていた。
修弥はどうして私と一緒にいるの?あんな風に付き合ったから別れられないの?
――プルルルル
何度も何度も聞かされた電話が鳴り響いて、私は少し離れた位置からそれを眺める。
この距離から見ていると、ドラマでも見ているようなそんな気分になる。
だからこそ、近づけない距離。
「おーどうした?え?」
ねえ修弥は、私をどう思ってるの?
「あー今日は…えー…んだよ、あーもう分かった」
私はどうして、修弥と一緒にいるの?