「実結?」

「――…え?」

突然呼ばれた声に顔を上げると、隣で修弥が少し不機嫌そうな顔をして私を見ている。

ああ、もう、一緒に帰ってたんだっけ?

「話聞いてるのか?」

「あーごめん…ぼーっとしてた」

流れるままに、言われるままに、同じように過ごしていたのか気がつけば放課後か。今になってはっきりとするなんて。

修弥はそのまま前を向いて歩く。
その姿を見ながらぼんやりとついていく。


ポケットに突っ込まれたままの手に、何となく自分の手が手持ち無沙汰な気がしてしまった。

――手を繋がないのなんていつものことなのに。

ずっと手を繋いでない。

キスだってしてない。

だって気がつけば、私たちが一緒にいる時間は、週に一度のデートくらいになってしまっていた。


一緒に帰って、映画を見て、一緒に帰るだけのそんな時間は記憶に残らないほどあっという間で、記憶に残らないほど同じ事の繰り返し。




今まで何の映画を一緒に見たのかさえももう曖昧だ。