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「て、繋いで良い?」
そういわれたのはいつだっただろうか。
帰り道、あの頃は確か毎日のように一緒に帰っていた。
「え?え、あ…う、ん…」
そんなことは初めてで、修弥は私の方を見ずに返事を聞くとすぐさまぎゅっと握っていた。
心臓が、私の体全体を大きく大きく揺さぶって、修弥にも伝わってしまっているんじゃないかと想いながら無言で歩いたあの日。
修弥の耳まで赤い顔を見て、笑ってしまったのを覚えている。
手を繋がなくなってしまったのはいつからだろう。
あの頃は毎日一緒にいて、毎日沢山の話をした。
映画の話も、クラスメイトの話も。家族の話もたくさんした記憶がある。
あの頃は修弥のことで知らないことはなかったし、きっと私も修弥には何もかもを伝えていた。
思い出せばどれもくだらない事だったのに、今でも話を覚えている。一緒に帰って、それでも時間が足らなくて公園で沢山の話をした。
尽きることなく、ただ話をして笑っていた。
初めてキスしたことだって、その前後全てを覚えている。
くだらないマンガの話から、無理矢理そんな話に持って行った修弥に、思わず笑って怒られたんだ。