目が覚めたときはもう、何もかもがどうでもいいようなそんな感覚で、不思議と心は乱れることはなかった。

――またか


そのくらいの気持ちだ。
いきなり変わるこの景色にも慣れてきてしまったのか。

ふと顔に違和感を感じて手で触れると少し、濡れていた。

涙なのか、昨日の雨なのか分からないけれど…どっちでもいい。


静かに体を起こして窓際に立ち、カーテンから空を見つめると、そこにはいつもと同じような曇が空をつつんで光を遮っている。


止まない雨が地を濡らす。


「実結ー」

母の声が聞こえて、返事をすることなく部屋を出て階段を下りた。


さすがに今日、この気分で食欲なんかない。

カレーだなんてとてもじゃない。ニオイですらもう嗅ぎ飽きた。もう一生カレーなんて食べたくない。



だけどリビングに充満するのは相変わらすのカレー。

何でか笑みがこぼれる。