目の前にトラックが一瞬にして私の視界を奪って、見えていたはずの修弥の姿を消した。
「おい…!男の子が轢かれたぞ…!」
「救急車…!」
だから――言ったじゃない。
あんなに言ったのに。行かないでって言ったのに。
そんなに、用事が大事なの?私よりも、あの子の方が大事なの?
嘘つき。バカ。
嘘つき。嘘つき嘘つき。
いつの間にか傘は私の体から雨を守ることをやめていて、全身が雨に刺された。
涙を流しているのかどうかさえ自分では分からない程に。
わらわらと集まる人が私を通り過ぎていく。
繰り返されるこの光景。
繰り返されるこの痛み。
繰り返されることによって麻痺する、心。
私の別れの言葉ですら、止められなかった修弥。止まってくれなかった修弥。
「大嫌い――…」
もう、いやだよ。
もういやで、もう、どうでもいいよ。