「あっ――…」

出ないで!
そう言おうとしたけれど、もうそれは遅くて、顔を上げたときにはもう修弥は電話を耳に付けていた状態。

やめて…やめてやめてやめて!


「おーどうした?え?」

手がカタカタと震える。
血の気が引くのを感じる。

「あー今日は…えー…んだよ、あーもう分かった」

一通りの会話が終わると修弥は電話をパタンと閉じて私を見る。申し訳なさそうな、そんな顔。


やめてよ!
行かないで!


「ちょ、わりーけど用事出来たから…映画今度でいいか?」

いやだ!

「実結も映画見たくなかったみたいだし」

そんなの口実に決まってるじゃない!


修弥の言葉に修弥を見つめながら体中が動かなくて、何も言えなくて、ただ黙って見つめた。