なんでわかんないの?
なんで動いてくれないの?
何でよ!
なんで!
どうすることもどういう事も出来なくて、立ちすくんでしまう私から、2.3歩離れた場所で修弥が立ち止まったまま振り返って私を見た。
悔しさと苛立ちが混ざり合う。
どうすることも出来ない自分のふがいなさと、なんで分かってくれないのかと修弥に対しての怒り。
「取りあえず、腹減ったし何か食うか?」
「…いや…」
どうせ駅前のファーストフードに行くんでしょう?いやだ。あんな場所行きたくない。
「あのなあ…」
私の返事に、修弥の声があからさまにめんどくさそうになった。
傘から覗き込む様に少しだけ修弥を見ると、声の通りにめんどくさそうな顔をしてポケットに手を入れている。
何かをしなきゃいけないことはわかっているし、ここで立ったままいたって何も変わらない。
この場所から出来るだけ離れたいと思っているのに、何も出来ないでただ立っていることしかできない。
何でか溢れそうになる涙をぐっと堪えて、傘からひたすら落ちる雨の雫を眺めた。
「――実結!」
突然名前を呼ばれて顔を上げた瞬間に、ぐいっと引き寄せられる力を感じてぐらりと体が傾く。