店の中に入るわけにも行かず、ただ物陰から修弥たちの様子を眺めた。

何でこんなことしてるんだろう、馬鹿みたいだ…そんなこと、思っても仕方がないのに惨めに感じる…

いや、そんなこと言ってる場合じゃないのに…


私の場所からはっきりと見える位置に座った修弥たちは、外で私が見ているのも、ましてやこんな気持ちになっていることも知らずに笑っている。


何も知らないで。

あと一時間も経たないうちに修弥は…

何で笑えるの。同じような状況だったらみんな笑えない癖に。当たり前だけど――…

八つ当たり以外のなんでもないと分かりながらもそんな思いがなくならない。


修弥の隣にいる女の子は楽しそうに笑っていて、修弥も楽しそうに笑ってる。


「バカじゃないの」

何を笑ってるの。
バカな男。バカ、バカバカ。

ふわふわの、昨日私に教科書を貸してくれた女の子の隣でへらへら笑って。

――二人でいるときも、そんな笑顔をあの子に向けてるの?


見ているのが苦痛になってきて、ため息のような諦めのような、憂鬱な気持ちで目をそらした。


噂の女の子との関係を、私は知らない。クラスメイトの女の子から心配そうに言われただけ。

その事について修弥に何かを言ったこともないし、修弥だってずっと態度は変わらない。


あの、ふわふわの女の子と…実際の所はどうなんだろうか。